投資向上委員会

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確証バイアスによって、ニュースを客観的に判断できなくなります

はじめに

 インターネットが日本中に普及し、あらゆる情報を入手できるようになりました。投資家は毎日のニュースや開示情報など様々な情報を取捨選択し、市場を分析および予測しています。しかし、人間は自らの主張に合う情報を選択し受け入れる一方で、主張に合わない情報は拒絶する傾向があります。このような傾向を「確証バイアス」といいます。 *1 例えば、株式市場が上昇すると予測して株式を購入します。すると、上昇すると予測される情報は受け入れ、実際には下落すると疑問に思う情報は拒絶する傾向があります。また、上昇すると予測される情報を探し出すかもしれません。その結果、市場を客観的にみることを妨げます。

 投資家は自らの富を成長させる様々な説得力のある、ニュースやアナリストの意見を見てきました。しかし、専門家が将来を正確に予測できるのなら、説得にしたがって投資をすることは理にかなっています…が、残念ながらそうではありません。

トランプ大統領が当選すれば、市場に打撃を与えると予測されていました

 例えば、最近の大統領選挙を振り返ってみましょう。SankeiBizによると

「トランプ当選なら世界経済は大変なことになる」

 投票直前まで、そう言い交わされていた市場が、いまや久々に活気づいている。*2

と述べています。多くの投資専門家はトランプ大統領が当選すれば、市場にとって危機になると考えていました。しかし、実際はいわゆるトランプ相場と呼ばれ、市場は活気づきました。

 確かにいくつかの騒動はありました。トランプ大統領が当選した11月9日の日経平均株価は、前日比-5.96%減の一時1000円超えの大暴落になりました。しかし、これも確証バイアスによるものと考えられます。なぜなら、投資家は直近の値動きを重視し、それが将来の値動きを表すものだと考えてしまいます。そのため、市場が暴落すると投資家はパニックを起し株式を売却する傾向があります。

 また、日本経済新聞社のコラムによると

 米大統領選で共和党のトランプ氏が当選したのをきっかけに、円安・株高が進んでいる。大規模な減税やインフラ投資などを掲げるトランプ氏の政策がひとまず好感されているためだ。*3

と述べています。しかし、大規模な減税やインフラ投資などは選挙期間中から掲げています。このような傾向は各社にみられ、特定のメディアを批判するものではありません。

 ニュースやアナリストの意見は説得力があります。しかし真実は、誰にも市場の値動きを正確に予測することはできません。したがって、全ての情報に対して客観的に判断することが求められます。

結論

 残念ながら、確証バイアスに影響されない投資家はほとんどいません。したがって、ニュースやアナリストの意見に左右され、客観的に判断できなくなる可能性があります。そのため、すべての情報に対して防衛策を用意する必要があります。最善の防衛策は明確な投資計画を持つことです。投資計画にしたがって最良の行動方針を用意することが重要になります。

脚注

*1:「確証バイアス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』最終閲覧日:2017年5月13日 (土) 14:00 JST、URL: http://ja.wikipedia.org

*2:「【社説で経済を読む】「トランプ当選なら暴落」反省はどこに 「理屈は後からついてくる」」『SankeiBiz』2016年12月5日 09:00 JST、最終閲覧日:2017年5月14日、URL: http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161205/mcb1612050500014-n1.htm

*3:「トランプ相場で株高・円安どこまで 市場の見方」『日本経済新聞社』2016年11月11日 11:25 JST、最終閲覧日:2017年5月14日、URL: http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161205/mcb1612050500014-n1.htm